2014年11月7日

シャトー シャンスネッツ Chateau Champcenetz 2000

Premieres Cotes de Bordeaux
Chateau Champcenetz 2000 
シャトー シャンスネッツ 2000


シャトー シャンスネッツ Chateau Champcenetz 2000


500mlという珍しいボトル
シャトー シャンスネッツではシャトーの建物を
シャンブル・ドット(Bed & Breakfast)」という宿泊施設としても運営、
ぶどう畑に囲まれながらボルドーワインを満喫できるという
実にたのしそうなことをやっているらしい
行ってみたいなぁ

宿泊客からのリクエストで、通常より少し容量の少ないボトルに
ビン詰めされたものだそうな
確かにフルボトルでは多いけどハーフでは少ないという時はもってこいだ
やるなぁ

1789年、シャンスネッツ子爵によって、
ボルドー市の南東、アントル・ドゥー・メール地区のボーレック村Baurechに設立
以降オーナーを変えながら、
現在、ワインメーカーを務めるマリエル・カゾー女史と
サンドリーヌ・ミエカーズ女史らが所有
メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%

だそうな、、、

ちなみに吟の酒きぶねで購入、\1,500くらい


さて、飲んでみよう
14年経っているからだろうか?
エッジはオレンジを帯び、
まだ凜とした透き通るような美しい赤はガーネット

コルクの香りを嗅ぐと、
香りが閉じている印象
けれども、とても質の高い力を秘めた閉じ方だ
グラスに注いでゆくと、品良くまとまった香りがする

グラスを斜めにしてゆっくりとまわす
すると、素晴らしい香りが開いてくる
グラス内でできるかみさん譲りの開かせ方
デキャンタージュしても良いくらいの
ポテンシャルが隠れている

最初のインパクトは紫色の凝縮感
これはドライフルーツ、干しぶどうの香りだ
熟成しているにもかかわらず、
全くダレのない芯のある香り
さらに黒っぽいカシス(和名;クロスグリ、英名;ブラックカラント)の香り、
カカオ、コーヒーリキュール、
鉄、インク、ヨード臭、腐葉土の香り。

まるでシャトーの周りの湿った腐葉土を
踏みしめているかのような錯覚にとらわれる

そして少しだけ赤い果実やバターのまろやかな印象
トゲのない上質なタバコの香り、
トーストやほのかな熟成香
残り香にはプルーンのようなやさしい香り


我が家ではデキャンタージュしないで
ボトルの上から下までの変化を楽しむ
・・・デキャンタを持っていないのも事実ですが、、、

ボトルの上の方だけ若さが残る酸
ボディーを明確にする果実、
干しぶどうの旨み、
生き生きとしっかりしたタンニン

菊の花の酢の物と合わせると、上品な甘みと香りが花開く
複雑味という趣きはないが、決して単調なわけではない
シンプルでシャトーの思いや方向性が感じられる

やはり、味わいも同様に最初は硬めに閉じた強さが感じられる

中程に来ると硬さが取り除かれ
バランスの良い開き気味の印象に

下の方はタンニンのパワーから逃れ
落ち着き払った味わいとなる

全体的には酸もタンニンもキツさはなく、
渋みの少ない甘さとなめらかさが表情を形づくっている
熟成ならではの一体感

これらの印象はメルロー主体のアッセンブラージュ
セパージュの特性からくるのだろうか
ボルドーワインを飲む機会が乏しいわたしには
感覚が染み付いていない

価格帯を考えるととてもよくできていて印象がいい
媚びないつくりはボルドーらしさを感じさせ、
芯のあるクラシカルな印象のワインに仕上がっている
抜栓後。数日置いても十分に楽しめそうだ

バルザックの「谷間の百合」にも登場する
シャトーらしいが、読んだことはない




2014年11月3日

宗玄純米 山田錦 55%無濾過生原酒 2012BY

宗玄 純米 山田錦 55%無濾過生原酒 2012BY-201302瓶詰め
1年半位前に抜栓し冷蔵保存していたもの
ポテンシャルは全く衰えない


宗玄純米 山田錦 55%無濾過生原酒 2012BY

冷やで食事に合わせた後に常温でゆっくり味わう

冷やに合わせた食事はブリしゃぶ
いや、ブリしゃふだからこそ宗玄
宗玄は青魚には素晴らしい相性を持つ
刺身や〆モノがよく合うけれども、
火を入れたしゃぶしゃぶとも絶妙だ
宗玄の持つ優しさ、ふくよかさがしゃぶしゃぶと示し合わせたかのように意気投合している


優しい薄緑色を帯びる酒は大抵旨い

優しい薄緑色を帯びる酒は大抵旨い
さて、ここからは、常温で

ワイングラスに注ぐ
とろみのある液体は
優しい薄緑色を帯びる
いかにもうまそうだ

ふくよかな甘い糖の香りと優しい柑橘系の香り
キュッと心くすぐられる優しい酸が
香りにも顔を出している
キツさがとれ、ほぐれたグリセリン臭も立ち上がりに含まれる

味わいは、香りを裏切ることのない素性の良さ
女性的でもあり男性的でもある輪郭は
美しいほどに均整のとれた優しさに満ちている
甘い糖分は静けさを伴って沁みてくる
柑橘系の風味は、一体どこからくるのか?繊細で表現し尽くせない
旨味の裏側にいる渋み
そこには日向夏の皮の部分やグレープフルーツの印象が感じられる
でも、もっと優しさとほのかな甘味に包まれている
酸はふっくらと優しく、キュートな印象

宗玄の純米、純吟は本当にバランスが良い
そして、酒米の特徴がとても素直に表現されている
10数年前はこのバランス、安定感に驚かされたのを良く覚えている

口内の残り香はマイヤーズのような甘味のあるレモンやグレープフルーツの香りだ
これが後味の心地よさを促している
不思議と何処となく、古い古民家を想起させるような印象も見え隠れする

宗玄は、飲み屋さんでは冷酒か燗でいただくことが多く、常温をすすめられることはほぼない
でも、やはり常温の持つ優しさとふくよかさは、繊細な旨味に満ちている

自然体で押しつけがましくない

そんな思いやりの詰まった一杯だ


2014年11月2日

秋鹿 純米吟醸 槽搾直汲 2012BY-201304瓶詰め 山田錦

秋鹿 純米吟醸 槽搾直汲 2012BY-201304瓶詰め
山田錦100% 精米歩合6割 901号酵母 
日本酒度+8 酸度2.9 アミノ酸度1.2

秋鹿 純米吟醸 槽搾直汲 2012BY 常温熟成
秋鹿 純米吟醸 槽搾直汲 2012BY山田錦


















もちろん、購入は吟の酒きぶね

一年冷蔵保存、抜栓後のポテンシャルを元に冷暗所の常温保存で半年経ったものだ

たまには、しっかりと感じたことを描いてみよう

今日はガラス製 うすはりグラス の猪口に注ぐ

「とろーっ、、、ゆるり」

少しばかりとろりと移ろう

ふくよかで爽やかなミネラル香、そしてめくるめくパワーが立ち上る
まるでフランスの上質な辛口白ワイン
そうロワール、ピイィ・フュメの強烈な火打石系のワインのようなニュアンス
そして常温ならではの質の良い熟成香
乳酸系の香りに柑橘系の香り、これはオレンジの皮、カボス、キンカンなどの香りがとても複雑に絡み合い、明言するのは難易だ
微かにプルーンや樹液、それに燻製のようなの香りまで立ち上ってくる
また、上質なきび砂糖や蜜の強い香りがそれらを包み込むように膨らみを与えている

味わいは何と言ってもしっかりと主張する酸がボディーの骨格となり、
力強い中に繊細さを持つ、酒質の豊かな一杯だ
そして、この酸こそが秋鹿の真骨頂
さらに、キレのあるフルーティーさ、蜜っぽくて、ふくよかでまろやか
それでいてエッジの効いた輪郭を感じられる
最後にやってくるのは、果実の皮を燻製にしたような渋みや苦み
決して雑味ではなく、質の良い味わいになっている
口の中の残り香はまるで長期熟成酒の熱燗を飲んだ時のようだ

強い酸に由来する力強さは、秋鹿のポテンシャルの高さを白日のもとにさらしている

熱燗は、少し高めに引っ張っても全く負けない
熱めの燗から徐々に冷ましながらぬる燗、そして常温に戻るまでゆっくりと楽しむ
酒盃は明治大正期の織部、お出かけ用の煎茶椀セットからひとつ

至福のひと時だ

今夜は我が家の定番、レンコン餅のあまりをつまみに
ごま油と白ごまを加えた醤油ベースのソースで


レンコン餅と熱燗
お出かけ用、骨董煎茶椀で温燗


















かみさんは「ちょっとこげちゃった」という

でも、この焦げ感からくる苦み・渋みに醤油の豊かな風味、ごま油の強さ
これらの強さが、
秋鹿の持つ独特の苦みや渋み、強い酸、そして熟成香にともなうカラメル香などと絶妙に合う
互いをしっかりとひきたててくれる
これも秋鹿の常温熟成酒2年ものならでは
もちろん、冷蔵保存でも合うが、常温保存の秋鹿にはまた別の出会い方がある

熱燗とともに食すと、さらなる領域に、、、
まるで、江戸時代の飲み屋さんに来たかのような錯覚を起こす

飲み口の強烈な若い硬さと強い酸、僅かなガス感
この手の日本酒を知らない人には、とてもとても飲みづらい酒に感じられるかもしれない
ただし、本物の日本酒だけが持つ底力はこの酸にありきといっても過言ではない
ワインで言えばフランスワインのような変化と複雑味に富んだ世界がそこに広がっている
そして酸を極めた日本酒にのみ叶えられた長期熟成の楽しみ

秋鹿については、概ね冷蔵保存で2年〜5年程度自家熟成させている
長いものは5年〜10年ひっぱって、十分に楽しめる
保存をしっかりすれば、もちろん劣化など縁がない

秋鹿や十字旭のような骨太の酸を持つ地酒は、
冷蔵保存と常温保存とで別々の味わいを堪能したいと常々思う
最近我が家では常温熟成酒が増えてきた
ちょっぴり変態的かもしれない
ちょっぴり?!

それにしても、

「いや〜、旨い。うますぎる!」

合計で飲んだ量は1合に満たない
昨日に比べ体調は下り気味
それでも、
今宵もなんと幸せなことか

わたしが最も敬愛する地酒、日本酒、純米酒の造り手の一つ
それが秋鹿酒造だ

また、いつか蔵にお邪魔したい
と切に願う



2014年11月1日

吟の酒 きぶね

今日は病院帰りに吟の酒きぶねに寄った

ぶれない素敵な夫婦だ

年下といえど、心から尊敬している

今日は体調が良い

注射祭りで10カ所打ってなおいい
首・肩・背中がこんなに軽いのは何年ぶりだろうか
(夕方には元通りだったけれども、それでもうれしい)

それで、気分がいいので

いつも頑張っている素敵なかみさんに
ねぎらいのワインを買って帰ろうということだ

「なにか秋らしいお楽しみのワインな~い?」


「是非、今、これがいいですよぉ」


と、でてきたのは シャトー・カロン・セギュール CH.Calon Segur のセカンド

サンテステフ・ド・カロン ラ・シャペル Saint-Estephe de Calon la Chapelle 
しかも1995年、
フランス、ボルドーサン・テステフ村の3級シャトーとして有名処だ







砂質砂利と鉄に富んだ石灰岩から生まれてくるブドウだとか




こちらはラベルデザインも淡泊なものだ

サンテステフ・ド・カロン ラ・シャペル( ラ・シャペル・ド・カロン La Chapelle de Calon はこれの後釜)は
イギリスのインポーターのみに出荷していたもので、
希少性から隠れたセカンドといわれているようです

実はカロン・セギュールは飲んだことがない
あのHEARTマークに違和感を覚え、
以前はあまり気にとめていなかったのも事実だけれども
これは田舎臭のする渋いラベルデザインだ
なんだかんだ言っても飲のんだことのないものは飲んでみたい
ハーフボトルと言うこともありかなりお得なお値段、1,500円
(通常はフルボトルで5,000~6,000円、安売りで3,000円前後)
中身もばっちりだそうな



丁度、カベルネの季節かなぁと思っていたところだった

きぶねさんでは、すすめられたとおりに買って帰って
いつもズバリ楽しむことができる


本当に、セレクトも良いが、なによりも客へのすすめ方がすばらしい

おしつけがましさは一切なく、上手にすすめては引いてというリズム感を持っている
こちらも、思わず心地よくなり、すすめられたものを頂くことになる
それでいいのだ


今の時代、そんなお店がいかほどあるだろうか?

お客様としっかり向き合い
謙虚に、酒と人へ深い愛情を注いでくれる


いつも感謝に堪えない



寄ってよかった

お店ではMineY本君に会った
また少し太ったべじゃ!
でも、久しぶりに会うことができ、話をすることができ、いい一日だった



さて、澱が多いので、1、2週間酒蔵で立ててからセラーへ入れよう

いつ飲めるかな
わたしはあまり飲めなくなってしまったけれど

心から楽しみな一本だ




吟の酒きぶね 更新
ところ 〒020-0866 岩手県盛岡市本宮1丁目7−22
電話 019-681-4330
FAX 019-681-4333
営業時間 AM10:00~PM19:00
定休日  火曜日、水曜日



マイナーですが奥鶴 上撰。宮城県は栗原市、旧栗駒町の地元酒

数年ぶりの投稿

酒は持病と服用薬の関係でいかんのですが、もうえーやん

勝手に解禁。

と、夜中に思い立ち、

真っ暗な酒蔵からごそごそと常温熟成酒を持ち出す

今宵の日本酒は、


「奥鶴 上撰」 2012年、2013年06月瓶詰め、千田酒造(株)、宮城県栗原市栗駒


奥鶴 上撰 千田酒造、宮城県栗原市栗駒


地元の酒の会で口開けしたにもかかわらず、ほとんど誰も見向きもせずに
まるまる残ったままのものだそうだ

1年前以上前に栗原の知人からいただいたのだが、

香りだけかいで、
「じゃぁ少し寝かせてみましょう」
といい自宅の酒蔵へ持ち帰った

奥鶴は宮城県栗原市旧栗駒町千田酒造の銘柄

純米系の栗駒山は活性炭濾過をせず、全量冷蔵貯蔵、出荷量はわずか200石
そのおかげで、米らしさを味わえるシンプルで骨のある酒が醸されている

いただいて以来、常温保存で1年半寝かせた上撰

2年常温熟成の品の良い色合い
そろそろ、飲み頃では、、、

「キュッ、トクトクトク」


恐らく香りは控えめなので、大ぶりのグラスへ


色は淡く優しい黄色味を帯びる


ゆらゆらと、くゆらす


「う~ん、、、いいね」


甘みを感じる穏やかな香りはとてもよい気配を醸している


そして、米らしい優しい味わいは冷やさずに常温~ぬる燗でいただきたい


うっすらと感じられるトーストや栗の風味

そして、どこか青い果実のようなすっきりとした感じがほのかに香る
ひね感はなく、とてもよい状態だ

甘み、酸、キレ、苦味(良い意味で)、旨味、どれをとっても優しく、雑味なく繊細

とても穏やかな一杯



ひとしきり楽しんだあと

昭和初期の骨董品、
錫の徳利で浅めに燗をつける

ぬる燗だ

座主窯の揺れるお猪口、宮城県栗原市花山

ふわっ、、、と、栗のような風味と甘みが強調され

濃蜜な香りが心身共に疲れを癒してくれる

さらに、

燗冷ましでは蜜の風味、旨味がぎゅっと凝縮し、
本質が濃く深みを帯びてくる

至福のひとときだ


この酒はぬる燗と燗冷ましでこそ真価をを発揮する

もちろん常温も言うことなし

栗原市のクリは大地からの賜物


今夜は栗原市花山の座主窯のお気に入りの盃酒


起きあがりこぶしのように揺れるお猪口
これがとてもたのしい気分にしてくれる
(いずれ、また窯にお邪魔したいなぁ、
その時はゆらゆら徳利を!)

ゆらゆらと揺らしながら心地よい酔いに浸る


「あ~、いい一日だった、いい夜だった」


上撰とはかくあるべき、まさにそんな酒だ

是非、1年~2年寝かせてほしい
純米だけが日本酒じゃあない
上質な上撰本醸造にであうと、純米をこよなく愛するわたしもそう思わずにいられない

そして、

地元に愛されてほしい酒だと切に感じる